キングオブキングス ドリアンを食す@シンガポール

キングオブキングス ドリアンを食す@シンガポール

ドリアンツアー2025夏編、シンガポールの1日目夜。

この日は午前中にチャイナタウンを歩き回り、いくつかのドリアン店を下見していた。
価格や品質、品種数で選ぶならゲイラン地区アルジュニード駅近くのドリアンストリートの方が良いだろうが、チャイナタウンは中心地の観光地から近く、今回宿泊したホテルからも近かったため夜のデザートとして食べるべく立ち寄った。

今回のドリアンを購入したお店はこちら、一级棒水果。
日本語の一番(Ichiban)と中国語の一级棒(yi ji bang)をかけた店名のようだ。

Ichiban Fruit · Trengganu St, 25, シンガポール 058476
★★★☆☆ · 青果店

この店舗ではマレーシアでもお馴染みの品種たちが置かれていた。
当然ながら玉売りもあれば

パック売りもある。
お腹に余裕がない時など、こういったパック売りは非常に助かる。


並んでる品種は食べたことがある品種ばかりだったが、唯一食べたことのない品種 皇中皇(キングオブキングス)を見つけたため、パックのものを購入した。
価格は18SGD/パック。

皇中皇はマレーシアのDコードを持つ品種ではなく、ローカルブランド名だ。
他にも王中王, King of Kingsなどの表記で売られていることがある。
この皇中皇というドリアンは混乱を招く非常に厄介な代物で、実は皇中皇という名前が指すドリアンには、全く異なる高級な品種と安価な品種の2つがある。

まず高級な方の皇中皇は、猫山王に独自に付けられたブランディングだ。
黒金猫山王などと同じで品種自体はD197猫山王だが、どこかの農園なり業者が差別化のために皇中皇という独自の名前を付けて売っている。

そして安価な方の皇中皇は、何かしらの安価なドリアンに独自に付けられたブランディングだ。
おそらく派生品種の多いD24やKhun Pohなどが元になっているのではと思うが、店員に聞いてもネットで調べても情報は得られなかった。

皇中皇というラベルを見て買っても、高級品種の可能性もあれば安価な謎品種の可能性もあるというのはもはや詐欺に近いとすら思う。
日本だったら間違いなく消費者庁から介入を受ける話だ。

だが、実はこの2種類を見分けるのは簡単だ。
まず高級な方の皇中皇は、猫山王と同等以上の価格が付けて売られている。
同じ店に猫山王が置いてあり、それと比較して近しい価格が付けられていれば高級な方の皇中皇である可能性が高い。
一方の安価な方の皇中皇は猫山王より確実に価格が低く、例えばD24やXO、レッドプローンなどの中〜低価格帯の品種と近しい価格であれば安価な方の皇中皇である可能性が高い。
もし自分の判断に確信が持てない場合は、店員に聞いてみるのが早いだろう。
もちろん、この世には悪徳なドリアン店も存在するので要注意ではあるが。

そして今回紹介する皇中皇は、安価な方の皇中皇だ。
改めて見てみると、見た目はかなり濃いめの黄色だ。
猫山王と同等か、それ以上といったところだ。
D24の派生品種なのではと前述したがこんなに色は濃くなるだろうか。
何の品種が元になっているか気になるところである。

さて、そんな皇中皇の気になる味は、、、

美味い!
安価で品種登録のない品種だからと侮ってはいけない。
甘みは決して強いわけではないが、この価格帯としては強い方だろう。
苦みもほどほどに感じられる。
水分はあるがベチャベチャしておらず、舌触りは滑らかで食べやすい。
僅かなアルコール風味を感じられるのも良い。

皇中皇はシンガポールでは頻繁に見かけた品種であり、味に癖もなく食べやすい品種だ。
シンガポールは日本人の海外旅行先として常に上位に入る人気国であり訪れる人も多いだろう。
もし、まだドリアンを食べたことがない、そしてシンガポールを訪れる予定がある、そんな方がいたら皇中皇は安価で手軽に買える品種として是非おすすめである。