謎のドリアンを食す@コタキナバル

謎のドリアンを食す@コタキナバル


ドリアンツアー2025夏編、3日目の夜。

コタキナバルでドリアンといえばここ、通称ドリアンナイトマーケットを訪れた。

Durian Night Market · 12-40, Jalan Segama Compleks, Pusat Bandar Kota Kinabalu, 88000 Kota Kinabalu, Sabah, マレーシア
★★★★☆ · 夜市

ドリアン屋台が7店舗ほどを軒を連ね、他の果物や麺など軽食の屋台も出ている。
他の都市では聞いたことのない掛け声「1(yi), 2(er), 3(san) Whoa~ Oh My God!!!」の掛け声でドリアンの開封パフォーマンをする店員さんの声が響き渡る。
よく考えるとマレー系の店員さんが中国語の数字を数え上げ、Oh My Godと叫ぶ姿はなかなか特異な光景ではなかろうか。
店の前を歩けば私が日本人であることなど問答無用で「老板(laoban)!老板!」と声かけのセールスをしてくる。
やはりドリアンは中華系や中国人観光客から人気なのだろう。

今晩は何のドリアンを食べようか、全ての店の取り扱いをチェックする。

値段も取り扱い品種も、お店によって少しづつ異なる。
ドリアンナイトマーケットを訪れたら一店舗で決めるのではなく、全てのお店を見ることをおすすめする。

同じマレーシアでもマレー半島側とは流通している品種がかなり異なる。
古めの品種やタイ系の品種、品種登録されていない地場品種など、見て回るだけでも楽しい。
なお、どこの都市でもある話だが特にコタキナバルでは既存の品種に独自の名前をつけて売っている場合もあるので、知らない品種名があっても不用意に食いつかず、一度インターネットで調べることを強く推奨する。

そんな中で、一つのボードが目にとまる。
「野生榴莲」と書かれているではないか。
しかし、ぱっと見でそこに野生種ドリアンは置いていない。

近づいて見てみる。
野生種ドリアンは外皮の棘が細長い品種が多く、一方で栽培種ドリアン(Durio Zibethinus)は棘の付け根が太く角錐型をしている。
少なくとも外皮から判断すると、ここに陳列されているのは栽培種ドリアンだ。

しかし、こちらのカットされたドリアンの房がどうも気になる。
栽培種に鮮やかな色のドリアンは多いが、黄色の色味が今まで見てきたドリアンと少し異なる気がする。
また、ラップで潰れされているとはいえ、房の表皮の皺の入り方も何か違和感を覚える。

気になりすぎて店員さんに話を聞いてみるが、野生種だと主張する。
「品種は?」
「ジャングルドリアン」
「学名は?」
「わからない」
「これは本当にジャングルのドリアンなのか? 栽培種かハイブリッドじゃないの?」
「純粋なジャングルドリアンだ」
「でも棘が太くない?」
「英語がよくわからない」
色々聞いてみるが店員があまり英語に達者ではないのか、しらを切っているのか、要領を得ない。

とにかく店員がなんと言おうと野生種ドリアンでないことは確実だ。
だが妙に気になる房の色や表皮をしているし、60MYRという決して安くはないが見過ごすにも勿体無い価格だったので購入してみることに。

外皮は普通のドリアンだが、、、

やはり中身の房が何か違和感を覚える質感だ。
明らかに今まで食べてきたドリアンとは異なる。

\ドンっ/

この謎すぎるドリアン、いざ実食!!!

果たして味は、、、

え、うまッッッ!!!!
何だこれは。
甘みも苦味もかなり強い、今まで食べたドリアンでも上位に入る濃さ。
そして何よりも特徴的なのが非常に滑らかな口触り。
甘みや苦味の濃いドリアンならこの世には沢山ある。
だが食感でここまで抜きん出たドリアンに出会うのは初めてだ。
筋もなく粒っぽさもない、トロトロしていて驚くほどの滑らかさ。
これは今まで食べたドリアンでもダントツの滑らかさだ。

高級ブランド品種でもないのに、とんでもない伏兵が現れた。
当然ながら今回のドリアンツアーでシンガポール、ジョホールバルと回ってきて暫定1位の美味さ。
というより、人生の中でも確実に上位に食い込んでくるドリアンだ。
このドリアンに問いたい、「君の名は。」

野生種ドリアンでないことは確実だが、こんなに美味しいドリアンを食べ終わった後に店員をまた問いただすのも面倒だと思い、この日はそそくさと次のドリアン店へはしごするのであった。

もちろんドリアン好きとしてこのままでは終われない。
後日このドリアンの正体が判明するので、また別の記事で紹介したい。